性的虐待を受けた性暴力サバイバーの妊娠出産期の支援 推薦文

推薦文2

妊娠・出産期において性虐待を受けた性暴力サバイバーについて多くの事例を通して当事者の苦しみを知ることが出来ました。もっとも祝福される「出産」に対してその行為が性的被害体験と重なるという事実をあらためて認識し、愕然としました。この書物と出会い、女性を支援している施設の女性たちの事を思い浮かべました。婦人保護施設(売春防止法改正により、2024年から女性自立支援施設に変わります)に辿り着く殆どの女性たちは虐待・暴力の被害者です。
中には幼児期から実父・義父・祖父・兄など親族から長期にわたり、被害を受け続けてきた女性もあります。「性的侵害」は生活の中でも様々に「生きづらさ」として見られます。「自分の身体は汚い」という言葉も聞きます。自分の身体が加害者に蝕まれた嫌悪感(膣・乳房・口)から、いたたまれず自傷行為に走る人もあります。性的侵害は許されない犯罪行為であり、重篤な人権侵害です。
施設には相手が不明のまま出産に至って入所してくる女性たちもあります。私たちは「女性が妊娠し出産する身体」「出産と同時に母となる女性」についてなど、出産時の状況など聞き取りながら女性たちに話すことがあります。
ほとんどの人が「自分の身体を守ってくれる人がいる」ことは皆無に近く、「自分の身体を自分が守る」ことすら知らない、出産を共に喜んでくれる経験もない状況下に置かれています。
まして、過去の虐待が出産により再トラウマ化しているかもしれないことまで認識を深めることはできていなかったと思いますし、私たち支援者もそこまで深めることはできていませんでした。
こんな言葉をよく聞きます。「私も虐待を受けてきたから、自分の子どもにも虐待をしてしまうのではないかと不安です」と。女性たちは自分が受けてきた性的虐待・暴力を「自分の身体」への侵害として理解できないために、自分を責めているのです。自尊感情を持つことすら許されなかった、知らなかった女性たちに、「あなたはあなたでいい」と話してあげたいと思います。
文中から貴重な事例とメッセージを沢山頂きました。
女性一人一人が、妊娠中、出産中、そして産後も愛され、大切にされたと感じる必要があります。—―― 素敵なメッセージです――



横田 千代子
全国婦人保護施設等連絡協議会会長 いずみ寮施設長

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横田 千代子プロフィール
 1984年(昭和59年)婦人保護施設「いずみ寮」に指導員として就職。1999年(平成11年)施設長に就任。現在、婦人保護施設「いずみ寮」施設長。 2005年(平成17年)全国婦人保護施設等連絡協議会(全婦連)会長 現在に至る
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<取り組んできたこと>
○ 「売春防止法」の改正、新法制定:2022年5月19日議員立法
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」制定
   〇いずみ寮「暮らしつくり」の支援‐-生きて来たけれど暮らしてこなかった―
     *取り組んでから2023年4月で 17年目を迎える

<今後取り組んでゆきたいこと>
   〇 支援法として当事者を真ん中にした「生きた法律」へ
   〇 性被害からの回復支援
「性被害回復支援センター」(仮称)の立ち上げ
   〇 女性支援3機関の連携(支援機関の中核としての機能する)

<社会的活動>
 〇「生きにくさを抱えた障害者ネットワーク」理事
 〇「ポルノ被害と性暴力を考えるか会」(ぱっぷす)

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