性的虐待を受けた性暴力サバイバーの妊娠出産期の支援 推薦文

推薦文1

midwifeとして妊娠をした方の隣にどう在るのか。
この本はサバイバーの語りを通じて、彼らの隣で「害のない存在」であることの大切さを教えてくれる。そして当たり前だと考えているケア(出産準備教室や妊婦健康診査、分娩進行中、産後の授乳サポートなど)の全てをトラウマ・インフォームド・ケアの視点から見直す必要があることに気づかせ、具体的にどうすべきか考えることを助けてくれる。

たとえ目の前にいる妊産婦がサバイバーであることを語らなかったとしても、私たちが見分けられなかったとしても、全ての妊産婦がなんらかの性的虐待のサバイバーである可能性があることを忘れてはならない。「害のない存在」であるために私たちにできることは現場での自分自身のケアを変容させること。彼らこそが妊娠出産のあらゆる場面での権利の主体であり、本人の選択の全てに敬意を払い尊重したケアについて考え実践する必要があることを本書にある一人ひとりの語りは繰り返し訴えかけている。
誰もが妊娠・中絶・出産の当事者になる可能性があるにも関わらず、「セクシュアル・リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ(SRHR)」という概念を知っている人はまだ多くはない。たとえこの概念を知っていたとしても、SRHRを保障する法律や制度もまだ不足する社会の中で、「自分の身体は自分で決める」ことにどれだけのエネルギーが必要なのか。この本を読み終えて感じているのは、サバイバーが持つそのエネルギーを奪うことなく、生きる力を信じサポートすることこそが癒しになるという希望だ。
「にんしん」をきっかけに、誰もが孤立することなく、自由に幸せに生きていくことができる社会の実現を目指して。



中島 かおり
認定NPO法人ピッコラーレ代表理事 助産師

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